IoTを介護の現場に導入すると、スタッフの負担軽減や定着率アップ、介護の質の向上など、多くのメリットをもたらすと言われています。特に、介護スタッフの負担軽減に関しては、IoT機器の1つである介護ロボットの導入により、大幅な負担軽減と人手不足の解消が期待されています。しかし、介護現場へのIoT導入は順調に進んでいないのが現状。IoTを導入するには、IoT機器をインターネットに接続する必要があるため、インターネット環境の整備が必要不可欠です。
しかし、公益社団法人全国老人保健施設協会が発表した、介護老人保健施設におけるIoT等の活用の可能性に関する研究事業報告書によると、介護施設において、インターネット環境の整備が遅れていることがわかります。同報告書によると、事務室のインターネット環境の整備は進んでおり、調査に協力した介護施設の99.0%が、整備していると回答。しかし、施設利用者が生活するスペースの整備状況にいたっては、機能訓練室で64.6%、利用者のベッドサイドで12.1%、食堂などの共用スペースで21.8%に留まっているのです。
また、介護ロボットの導入状況に関しても、現状では導入していない施設のほうが圧倒的に多数派です。同報告書にある、種類ごとの介護ロボット導入状況によれば、利用者の転倒防止を目的としたロボットを有効活用していると答えた施設は、22.5%と比較的高い数値を示しています。しかし、他の目的で用いられるロボットにいたっては、有効活用していると答えた施設はほんの数%。インターネット環境の整備状況と介護ロボットの導入状況から、介護現場へのIoT導入がどれほど進んでいないかがうかがえます。