高齢化社会とともに、介護職の人手不足を背景に、介護現場に即したIoTの導入が進んでいます。IoTは、介護をサポートする機材にセンサーなどを取り付け、さらにそれをインターネットに接続することで、スタッフと利用者双方の負担を減らして効率よく介護ができると期待されています。特に介護の現場で負担となるのが、排泄に関する業務です。そして、介護を受ける利用者にとっても、自分で排泄ができれば、不必要な羞恥心から解放されます。その点で役に立っているのが、排せつ予測を行うアプリです。これは、下腹部にセンサーを取り付けることで膀胱のふくらみを感知し、排尿のタイミングを教えてくれるというものです。こちらのシステムでは、膀胱の膨らみ具合を複数段階で表示させられるので、前もってトイレに誘導することも可能です。
夜間の排泄をサポートするシステムとして、ベッドにセットするタイプのものも利用されています。こちらは、ベッドシーツとマットレスの間に置くシート型のセンサーで、お尻の部分の重量の変化をとらえて、介護スタッフの管理モニターにアラートを出すというもので、必要な場合にのみトイレに誘導したり、おむつ交換ができるようになり、利用者の睡眠を確保できるメリットもあります。
さらに、施設内の利用者を見守るシステムの導入も進んでいます。赤外線などを用いて人の動きを感知し、利用者の部屋を巡回しなくてもある程度の状況がわかるとともに、長時間にわたって人の動きが感じられない、夜間に部屋にいないなどの異常事態を早期発見し、適切な対処をすることができます。